2018年小田急ダイヤ改正について考える(その1)
先日2018年3月に実施される小田急のダイヤ改正の続報が上がってまいりました。
このサイトから全駅の時刻表が確認できます。
2018年のダイヤ改正は、登戸代々木上原間の複々線が開始されるということもあり、小田急ユーザーをはじめとして多くの人から注目を集めていました。
私をはじめとする多くのユーザーは期待していたわけです。
「通勤通学が便利になる・・・」と。
しかし、時刻表が公開された今、どうやらそういうわけでもない説が浮上しているのです。今回は朝ラッシュを中心に取り上げ、ダイヤ改正なのか、はたまた改悪なのか調べてみます。
1.1 朝ラッシュ上り(小田原〜相模大野)
小田原6時台の本数を比較してみましょう。
改正前:各停5本、急行7本、特急1本、計13本
改正後:各停5本、急行1本、快急6本、計12本
先日もお伝えした通り、小田急の朝メインは快速急行となります。急行が快速急行に振り分けられた感じですね。さすがに小田原から都心まで通勤通学している人は僅かでしょうから、影響を受ける人はそこまでいないのかなと思います。
ただし、小田原始発の一部特急ロマンスカーが秦野始発に変更されているので、今まで使っていた人は不便になってしまいますね。
本厚木7時台の本数を比較してみましょう。
改正前:各停4本、準急4本、急行7本、快急1本、計16本
改正後:各停6本、通準2本、急行4本、快急6本、特急1本、計19本
本数増えてますね、やったね!!と、言いたいところなんですが、急行はすべて相模大野止まりというトラップがあります。もちろん江ノ島線からの快速急行と接続はあるのですが、新宿へ乗り換えなしで行ける優等(特急除く)は8本から6本へと純減となってしまいました。これもまた不便ですね。
しかし、新宿への所要時間は複々線開通効果により10分程度短縮されています。これは大きいです!!(個人的に)。
ちなみに、準急が通勤準急という新種別に置き換わっています。通勤準急はすべて千代田線直通となってしまうので、通勤準急以下の停車駅から新宿駅に行きたい場合は各停でひた走るか、相模大野での乗り換えが必要となってしまいます。
1.2 朝ラッシュ上り(片瀬江ノ島〜相模大野)
藤沢駅7時台の本数を比較してみましょう。
改正前:各停8本、急行4本、計12本
改正後:各停6本、急行6本、計12本(急行は相模大野から快速急行に種別変更)
これは・・・どうなんでしょうか。江ノ島線の急行停車駅は本数増えて嬉しいのかもしれませんが、急行通過駅は8本から6本に純減し、朝ラッシュにもかかわらず、日中と同じ本数という厳しい流れになっています。しかもこの各停は6両しかありません。江ノ島線は想像以上に混雑する路線なので、積み残しなどが起こらなければいいのですが・・・。
1.3 朝ラッシュ上り(相模大野〜新百合ヶ丘)
相模大野駅7時台の本数を比較してみましょう。
改正前:各停7本、準急5本、急行12本、計24本
改正後:各停7本、通準5本、快急12本、計24本
綺麗に置き換わっていますね。急行が快速急行になったことで所要時間が短縮されていますし、これは勝ち組ではないでしょうか。
しかし、先ほど述べましたが、ここでも準急が通勤準急という新種別に置き換わっています。通勤準急はすべて千代田線直通となってしまうので、通勤準急以下の停車駅から新宿駅に行きたい場合は各停でひた走るか、新百合ヶ丘での乗り換えが必要となってしまいます。
1.4 朝ラッシュ上り(唐木田〜新百合ヶ丘)
小田急多摩センター駅7時台の本数を比較してみましょう。
改正前:各停10本、急行1本、計11本
改正後:各停6本、通急6本、計12本
なんというか、ガラッと変わっていますね。急行は通勤急行という新種別に置き換わっています。この通勤急行ですが、快速急行と千鳥停車になっているため、登戸駅は通過してしまいます。
さて、通勤急行通過駅のみなさんは純減ですね。日中と同じ本数しかありません。そのかわり、通勤急行停車駅のみなさんは優等大幅増発によって恩恵を受けるでしょう。しかし、大問題があることも事実です。
「千代田線直通が一切ない・・・」
多摩線と千代田線は歴史的に密接に結びついており、直通させることが前提のようになっていました。しかし小田急は千代田線から新宿方面へと舵を切りました。一体どうしてでしょうか。以下はあくまでも憶測となりますが、実際多くの人の共通認識となっています。それは、
「京王の客を奪い取りたいから」です。
多摩センター新宿間は京王と完全に競合しています。かつては利便性から京王の圧勝でした。しかし、京王は複線のため朝ラッシュはとっても時間がかかるのです。そこで複々線という武器を手にした小田急は所要時間短縮という謳い文句のもと、京王をとっても意識し始めました。
千代田線方面に向かうユーザーは黙っても小田急を使います(たとえ乗り換えがあるとしても)。しかし対新宿へは京王というライバルがいるため、小田急を黙っては使ってくれません。乗り換えがあるようではなおさらです。じゃあどうするか。乗り換えなしで新宿まで行けるようにすること。それしかありません。(実際小田急はそれ以外に始発電車も設定しています。小田急は本気で京王を意識しています。)
その結果、京王からの新規ユーザーは獲得できるでしょう。その代償として、既存ユーザーが蔑ろにされてしまったような印象を受けます。
1.5 朝ラッシュ上り(新百合ヶ丘〜新宿)
新百合ヶ丘駅7時台の本数を比較してみましょう。
改正前:各停9本、準急5本、急行12本、計26本
改正後:各停6本、通準5本、通急6本、快急11本、計28本
こいつはすげえや。複々線効果を存分に受けることができますね。やったぜ!!って感じでしょうか。
下北沢駅8時台の本数を比較してみましょう。
改正前:各停8本、準急5本、急行13本、快急1本、計27本
改正後:各停11本、通準5本、通急6本、快急11本、計33本
言うまでもなくすごいですね。複々線やべえよ・・・やべえよ・・・。
まとめ
というわけで、今回の小田急ダイヤ改正(朝ラッシュ上り)に関しては、下北沢から先まで向かう人は概ね所要時間は短縮されています。また、複々線区間は大幅に増発がなされています。これはとても大きな改正事項です。
ただし、小田原から新百合ヶ丘まで利用する人などは大して時間短縮の恩恵はありません。また、最短時間のルートを選んだ場合、乗り換えが生じるパターンが増えたように思います(厚木〜生田の急行通過駅から新宿に行く場合など)。そして、ちょいちょい接続が悪くなっているところがあり、新宿方面へ向かわない人は逆に所要時間が増えている場合もあります。
朗報・・・?
工事の遅れにより、2018年度は代々木八幡駅が10両に対応できませんでした。2019年度には10両化が完了すると言われていますから、また新たにダイヤが作られるでしょう。そうすると、各停が10両になったりするなど、ダイヤの幅が大幅に広がります(準急の代々木八幡〜南新宿が停車駅となるかも・・・?)。
つまり、2018年度のダイヤはまだ本気を出しきれていません。2019年のダイヤ改正では朝ラッシュがさらに改正されるはずです。期待したいですね。
今後、夕ラッシュ下りや日中ダイヤについても考えてみたいと思います。